岡山市と中国・洛陽市の友好都市締結45周年を記念し、認定NPO法人岡山市日中友好協会の主催により、林原美術館で「洛陽 王鐸書法拓本展」を開催しました。王鐸は、現在の洛陽市孟津区に生まれた、明末清初を代表する書家です。本展では、洛陽市の王鐸書法館の協力のもと、王鐸の力強く躍動感あふれる書を拓本作品を通して紹介しました。
会期中には、作品展示に加え、洛陽市から来岡された書家の皆様と明誠学院高等学校書道部による揮毫会や交流、拓本制作ワークショップなどを実施しました。書を通じた民間交流により、洛陽と岡山、そして中国と日本の人々が心を通わせる貴重な機会となりました。
友好都市締結45周年を祝う開会セレモニー
9月17日、林原美術館ナガセヴィータ・ギャラリー前において、開会セレモニーを行いました。洛陽市からは、洛陽市王鐸書法館館長の任樹忠氏、同館顧問の席昇陽氏、中国書法家協会会員で中山印社社長の孫瑋珂氏、中国書法家協会会員で洛陽市書法家協会副秘書長の韓明利氏が出席しました。
岡山側からは、認定NPO法人岡山市日中友好協会の土井章弘会長、岡山市国際交流協議会の松田久会長、岡山県日中教育交流協議会の鍵本芳明会長、岡山市国際課の佐藤隆司主幹、矢掛町の山部英之教育長、岡山外語学院の片山浩子理事長(岡山市日中友好協会前会長)、長泉寺の宮本龍門住職、林原美術館の谷一尚館長をはじめ、明誠学院高等学校、書道連盟、関西書芸院、友好協会の関係者など約30名が参加しました。

開会にあたり、土井章弘会長、任樹忠館長、松田久会長が挨拶し、岡山市と洛陽市が45年にわたって育んできた友好関係や、書法文化を通じた今後の交流への期待を語りました。また、岡山市長からのメッセージが、佐藤隆司主幹によって代読されました。
続いて、土井章弘会長、任樹忠館長、松田久会長、鍵本芳明会長によるテープカットが行われ、両市の新たな文化交流の始まりを祝いました。
王鐸の書と向き合う展示会場
会場には、洛陽王鐸書法館が所蔵する原刻石碑から採拓された作品が展示されました。来場者は、墨の濃淡や力強い線、文字が連続して流れるような構成など、王鐸の書が持つ躍動感を間近で鑑賞しました。

拓本には、原刻石碑の肌理や筆墨の息遣いが残されています。白と黒によって表現された作品を通して、王鐸が生きた時代や、書に込められた思いに触れていただく機会となりました。
洛陽の書家と明誠学院高等学校書道部による揮毫会
開会セレモニーに続いて、洛陽からの訪問団と明誠学院高等学校書道部による揮毫会を開催しました。訪問団の書家と明誠学院高等学校書道部の皆さんが、大きな紙を前に筆を取り、それぞれの感性を生かした作品を書き上げました。


明誠学院高等学校を訪問し、書道部と交流
訪問団は明誠学院高等学校を訪れ、書道部の生徒や教職員の皆様と交流しました。書道部の活動を見学したほか、自らも筆を取って書を揮毫し、生徒たちと書法や作品について意見を交わしました。


洛陽の書家による揮毫を見た生徒たちからは、普段の自分たちの書き方との違いについて、
- 「手首をほとんど動かさず、流れるように書いている」
- 「書いている間も姿勢を崩さず、筆をまっすぐ持ち続けている」
といった感想が聞かれました。筆の運びや姿勢を間近で見ることが、生徒たちにとって新たな学びとなりました。
訪問団の皆さんにとっても、日本の高校生が書道に取り組む姿に触れ、若い世代との交流を深める時間となりました。「楽しい。もっとこの場で高校生の皆さんと一緒に書を書きたい」という声も聞かれ、交流を惜しむ様子がうかがえました。

拓本制作ワークショップで子どもたちと交流
会期中には、拓本制作を実際に体験できるワークショップも開催しました。参加した子どもたちは、紙の上から丁寧に墨を移し、文字や模様が少しずつ浮かび上がる様子を楽しみました。

「ポンポンたたくとき、手がつかれた」「上手にできた」「またやりたい」といった感想も聞かれ、完成した拓本を手に笑顔を見せていました。
洛陽からの訪問団も子どもたちの体験を見守りながら交流し、拓本という伝統的な技法を身近に感じてもらう機会となりました。作品を鑑賞し、自ら手を動かして制作することで、世代を越えて書法文化への関心を広げるきっかけとなりました。
書を通じた民間交流を未来へ
今回の展示会では、王鐸の書法を拓本作品によって紹介するだけでなく、洛陽と岡山の書家、高校生、子どもたちなど、幅広い世代の交流が生まれました。
墨無国界、文脈相通――墨に国境はなく、文化の精神は互いに通じ合います。
王鐸の筆墨が平和と友好を結ぶ絆となり、洛陽と岡山、そして中国と日本の文化交流をつなぐ懸け橋となることを願っています。本展の開催にご協力いただいた皆様、そして会場へお越しいただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
